2015年2月17日火曜日

エホバの証人はなぜ異端視されるの?

 エホバの証人というキリスト教グループは、カトリックからもプロテスタントからも異端視されているようです。彼らは戦争に反対して、第二次大戦中はドイツの強制収容所にドイツのエホバの証人の信者たちが大勢いたそうです。

 他のほとんど教会がナチスドイツの政策に妥協的な対応をしていた中で、決してナチスに従おうとしなかったエホバの証人こそが真のクリスチャンだったようにも思えます。



 エホバの証人が異端視されるのは、エホバの証人が実際に「異端」だからです。

 カトリック教会とプロテスタント教会、それに正教会などの伝統的な正統派教会は、三位一体やキリストの両性といった基本的な教義において一致しています。これらの教会は11世紀の東西教会分裂や、16世紀の宗教改革によって別々の教派に分かれていくわけですが、それ以前に千年から千数百年ににわたり、同じ信仰を共有してきたという根っこのつながりがあるわけです。この根っこを共有しているところが、伝統的な正統派教会であるゆえんです。

 しかしエホバの証人はこうした根を共有せず、聖書をもとに伝統から離れた独自の教義を作り、既存の教会の伝統的な教えを間違いだと批判しています。エホバの証人は三位一体もキリストの両性も否定します。つまり信じている神やキリストの定義が、他のキリスト教会とは異なるのです。

 第二次大戦中、ドイツのエホバの証人が強制収容所に収容されて大勢が殺されたのは事実です。しかし同時に、カトリック教会やプロテスタント教会の信徒や牧師・神父なども大勢が収容所で命を落としています。アウシュビッツの収容所で、殺されるべき囚人の身代わりとなって死んだコルベ神父は有名です。プロテスタントの有名な神学者ボンヘッファーは収容所で殺され、ニーメラーも間一髪で死を免れました。ナチスに協力する教会も多かったですが、ナチスに非協力的な態度を取るキリスト者もいたことを忘れるべきではありません。

 戦前の日本で活動していたエホバの証人は「灯台社」の人々ですが、彼らも戦争中は戦争に非協力的な態度を取って刑務所に入れられました。そこで亡くなった人もいれば、刑務所内の劣悪な環境で体を壊し、戦後になって亡くなった人もいます。しかし「灯台者」の代表だった明石順三は、戦後アメリカのエホバの証人を痛烈に批判して組織から排除されてしまいます。日本のエホバの証人は、戦前と戦後とでは別組織になっています。

 また戦争中に日本で迫害されたのは、エホバの証人だけではありません。ホーリネス系のプロテスタント教会の中にも戦争に反対する人たちがいて、何人かが刑務所で死んでいます。

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