ユダヤ教やキリスト教の伝統にない「モルモン書」を、聖書と同等の権威を持つ正典としているからです。モルモン書はモルモン教の開祖であるジョセフ・スミス・ジュニアが、19世紀初頭に「発見」したという古文書です。
聖書の写本が羊皮紙やパピルスにヘブライ語やギリシャ語で記されていたのとは異なり、モルモン書は金の板に変形エジプト文字で記されていました。この文字についての知識を持たなかったスミスは、天使に与えられた霊感をもとにモルモン書を英語に翻訳して出版します。モルモン書の金板は翻訳終了後に天使に返却されました。
この話が現実なのか作り話なのかはともかく、モルモン書がキリスト教徒の使っている聖書とはまったく異なった出自を持つ文書だということはわかると思います。このモルモン書を神に与えられた新しい啓示、新しい預言、新しい契約だと主張するのがモルモン教ですが、こうした主張は伝統的な正統派教会に受け入れられるはずもありません。
モルモン教がモルモン書だけを正典としていればキリスト教とは無関係な新興宗教で済むのですが、聖書とモルモン書を併用していて、教会の正式名称も「末日聖徒イエス・キリスト教会」だったりするので、キリスト教の一種ではあるがキリスト教の正統派ではない「異端」とされるのです。
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