2015年2月18日水曜日

キリスト教徒以外にも悪魔は取り憑く?

 キリスト教徒ではない日本人にも、悪魔は取り憑くものですか?

 もし悪魔が取り憑いたら、キリスト教徒以外の人もキリスト教のエクソシストに悪魔祓いをしてもらわないといけませんか?



 ウィリアム・ピーター・ブラッティの小説「エクソシスト」は、まさにその問題を扱った作品でした。映画版は小説をほぼ忠実に映像化しています。

 女優のクリス・マクニールは娘リーガンが奇怪な言動を始めたことにショックを受け、精神科医の治療を受けさせますがまるで効果がありません。やがて精神科医は「カトリック教会に相談して悪魔祓いを受けてみては」と提案します。悪魔の存在を信じているわけではないが、悪魔祓いには強い暗示の効果があって、それが症状を緩和させるかもしれないと言うわけです。クリスはこの医者の提案をあっさり却下します。自分の娘を、そんな怪しげなまじない師のような人間に見せるわけにはいかないと考えたからです。しかし症状の悪化や、親しい映画監督の死などが重なり、クリスはとうとうカトリック教会を訪ねて悪魔祓いを派遣してもらうように願うのです。

 キリスト教の信者でなくても、悪魔が取り憑くことはあり得るというのが「エクソシスト」の主張だったわけですが、これはじつは当たり前の事です。キリスト教の神は「信じる人だけの神」ではないのですから、キリスト教の悪魔や悪霊も「信じる人だけの悪魔や悪霊」ではありません。キリストは「信じない人」も救うために十字架にかかったのですから、悪魔や悪霊が「信じない人」を苦しめるために取り憑くこともあり得るでしょう。

 カトリック教会のエクソシストは慢性的な人手不足で、これを解消するため2005年からバチカンで養成講座が開かれるほどです。しかし公式エクソシストにとって一番大事な仕事は、精神的な病気と本物の悪魔憑きを見分けること。エクソシストのもとに持ち込まれる相談のうち、95%以上は精神的な病だといいます。エクソシストの儀式も、多くの場合は精神科医と協力しながら行われます。なお日本のカトリック教会によれば、日本では悪魔祓いの要請というのはほとんどなく、公式なエクソシストも存在しないようです。

 というわけで、「悪魔が憑いたかな?」と思ったら、教会ではなくまず精神科医の診察を受けた方がいいと思います。

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