2015年2月18日水曜日

カトリックとプロテスタントの違いは?

 カトリックとプロテスタントは、簡単に言うとどこがどう違うのでしょうか?



 基本的な教義はどちらも同じです。

 神の三位一体やキリストの両性を主張し、使徒信条やニケア・コンスタンティノポリス信条、カルケドン信条など、伝統的な信条で告白されている信仰を守ります。

 キリスト教信仰の基礎は「聖書」と「教会の伝統的な教え」です。カトリック教会は教会の伝統的な教えを「聖伝」と呼んで重んじ、聖書と同等の権威を持つ信仰の基準とします。しかし教会の長い歴史の中でこの伝統が肥大化し、教会が伝統を根拠に何でもできてしまうという状態になりました。

 これに異議を唱えたのが、マルチン・ルターに端を発する宗教改革です。宗教改革者たちは「教会の伝統」をひとまず横に置いて、まず「聖書のみ」で教会の教えや運営を見直してはどうかと提案しました。しかしこうした声は当時の教会に聞き入れられず、ルターは破門されて新しく自らの教会を造ることになりました。これがルーテル教会(ルター派教会)で、最も古いプロテスタント教会です。

 次いでルターの影響を受けた宗教改革者たちが改革派教会を作り、ルーテルと改革派はプロテスタントの2大源流となって今に至ります。特に「聖書のみ」を徹底した改革派はヨーロッパ各地で大きな影響を持ち、ここからさらに多くのプロテスタント教派が生まれることになりました。

 カトリック教会はこうしたプロテスタント諸派の動きに対抗して、遅ればせながら教会内部の刷新を始めます。これが対抗宗教改革で、それまで伝統の上に伝統を積み重ねて混乱していた教会の伝統的教えを体系化して、プロテスタント教会との違いが鮮明になりました。これによって、現在まで続くカトリック教会の基礎が築かれたと言えます。

 以上が、宗教改革の大まかな流れ。

 カトリックとプロテスタントの違いは、カトリック教会が「聖書と聖伝(教会の伝統)」を信仰の基準にするのに対し、プロテスタント諸派が「聖書のみ」を信仰の基準としていることです。プロテスタント教会はカトリック教会が伝統的に守ってきた教えや制度のうち、聖書に根拠がないものは原則として排除しました。

 カトリックは神父さんでみんな独身だけど、プロテスタントの牧師先生は結婚できる。カトリックは聖母マリアや聖人様がいて、プロテスタントはイエスさまのみ。カトリックはローマ教皇が組織の頂点にいるけれど、プロテスタントは諸教会に別れているし、教会内で牧師が偉いわけでもない。カトリックは幼児洗礼を行って洗礼名を付けるけれど、プロテスタントは多くの教会で成人洗礼のみで洗礼名を付ける習慣もない。カトリックは祈るとき十字を切るけれど、プロテスタントはそうしたことはしない。こうした違いはすべて、「聖書と聖伝」と「聖書のみ」の違いから来ています。

 とはいえプロテスタント教会も文字通り「聖書のみ」というわけではなく、カトリック教会から受け継いだ「教会の伝統的な教え」をそのまま守っている部分もあるのです。クリスマスやイースターの日付を定めた教会暦を見れば、それは一目瞭然です。これらの日付に聖書的な根拠は一切ありませんが、プロテスタント教会もカトリック教会が定めた伝統的な日付をそのまま踏襲しています。

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