2015年2月16日月曜日

ローマ・カトリック教会とギリシャ正教会の違いは?

 キリスト教のローマ・カトリック教会と、ギリシャ正教会の違いはどこにありますか?



 カトリック教会はそこから派生したプロテスタント教会も含めて、「西方教会」「ラテン教会」という区分です。教会の東西分裂後、西方に属する教会(西方教会)では、教会内の標準語としてラテン語を用いていました。使っていた聖書もラテン語訳のウルガタです。

 プロテスタント教会はルター以降、それぞれヘブライ語やギリシャ語の聖書原典から各国語に聖書を訳すようになりましたが、カトリック教会内部では今でもラテン語が公用語とされています。カトリック教会で各国語のミサが行われるようになったのは、1960年代の第2バチカン公会議以降のことでした。

 これに対して、ギリシャ正教会に代表される正教会は、「東方教会」「ギリシャ正教」とも呼ばれます。東西分裂で東側に属する教会(東方教会)では、教会内の標準語として「ギリシャ語」を用いていたためです。ギリシャの教会だからギリシャ正教なのではなく、ギリシャ語を使っているからギリシャ正教です。このへん紛らわしいので、一般的には「正教会」と呼ぶことが多いと思います。

 東西教会のもっとも大きな違いとしては、ニケア・コンスタンティノポリス信条に告白されている「聖霊」について、「父より発する」とする東方に対し、「父と子より発する」とする西方教義の違いがあります。これによって生じた東西教会の論争を「フィリオクエ論争」と呼び、この出来事によって東西教会の分裂は決定的なものとなりました。

 他にも西方では原罪の教義が発達して人間の全的堕落を強調しますが、東方はそれを取り入れず人間の自由意志を尊重するという違いがあります。西方教会で広く用いられている使徒信条は西方で発達したため、東方教会では用いないという違いもあります。旧約聖書の正典の範囲も少し違いますし、典礼についての理解も違います。聖職者が独身限定なのか、妻帯できるのかという違いもあります。

 東西教会は教義に多少の違いはあれど、根本的なところでは同じキリスト教です。三位一体やキリストの両性といった基本教義は変わりません。意見の対立はあっても、なんだかんだで千年以上にわたってひとつの「普遍教会」として足並みを揃えてきたという歴史もあります。近年になって東西教会はかつての相互破門を解消し、それぞれを伝統的な普遍教会として認めるようになっています。

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