イエスや天使やマリアの像を造ること自体は、プロテスタント教会でも禁じられていないはずです。ただしプロテスタント教会には、聖像や聖画を通して神に祈ったり、聖人に執り成しを願うという習慣がありません。(聖人崇敬という習慣自体がありませんし。)ですから聖像や聖画は礼拝堂には置く必要がないわけです。
しかしそのプロテスタント教会でも、イエスや天使やマリアの絵は、子供向けの日曜学校などではおなじみのものです。子供たちの読む絵本、紙芝居、大判の絵が入った聖書物語などを通して、子供たちはイエス・キリストの姿を具体的にイメージします。
もちろん日曜学校の子供たちが、絵本のイエス・キリストに手を合わせて拝んだりすることはありません。でも子供たちが絵本の中のイエス・キリストの顔に落書きしたり、つばを吐きかけたりしたら、CSで奉仕している先生方も「イエスさまになんてことをするのですか!」としかるはずです。たとえ絵に描かれたキリストであっても、そこには何らかの尊敬の念はわいてくるのが人情というものです。
カトリック教会の聖像や聖画は、ようするに日曜学校で子供たちに見せる絵本や紙芝居の大人版です。ほんの少し前まで、ヨーロッパでは文字が読める人がごく少数でした。そうした人たちにとって、カトリック教会内の聖像や聖画は、絵によって書かれた聖書物語だったのです。人々は教会の聖像や聖画を見て、神父やシスターから聞かされた聖書の物語を思い出し、神に祈り、聖人に加護を願ったのです。
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